浸水しやすい家の特徴と事前対策

夏の防災

大雨による住宅の浸水は、川の近くにある家だけで起こるとは限りません。

周囲より土地が低い場所、道路から玄関までの高低差が少ない家、排水設備の能力を超える雨が降りやすい地域では、河川が氾濫していなくても雨水が住宅へ流れ込むことがあります。

また、住宅そのものが浸水しなくても、屋外の給湯器、エアコンの室外機、分電盤、太陽光発電設備、マンションの地下電気設備などが水に浸かると、停電や設備故障につながる可能性があります。

この記事では、浸水しやすい家と土地の特徴、自宅の浸水リスクを確認する方法、玄関・排水口・家電への事前対策、避難時と浸水後の注意点をまとめます。

この記事でわかること

  • 浸水しやすい土地と住宅の特徴
  • 洪水と内水氾濫の違い
  • ハザードマップで確認する項目
  • 玄関や排水口からの浸水を減らす方法
  • 家電や非常用電源を水害から守る方法
  • 避難時と浸水後の電気事故を防ぐ方法
  1. 住宅の浸水には主に2つの原因がある
    1. 河川の氾濫による浸水
    2. 排水が追いつかない内水氾濫
  2. 浸水しやすい土地の特徴
    1. 周囲より標高が低い土地
    2. 川、用水路、調整池の近く
    3. かつて水田、沼、湿地だった土地
    4. 谷底低地やくぼ地
    5. アンダーパスや地下道の近く
    6. 海岸や河口に近い低地
  3. 浸水しやすい家の特徴
    1. 道路と玄関の高さがほとんど同じ
    2. 玄関や掃き出し窓が低い位置にある
    3. 半地下や地下室がある
    4. 駐車場から住宅へ向かって下り傾斜になっている
    5. 排水口や側溝が少ない
    6. 雨どいの水が敷地内へ集中している
    7. 電気設備や給湯設備が低い位置にある
  4. 自宅の浸水リスクを調べる方法
    1. ハザードマップを確認する
    2. 自宅周辺を実際に歩いて確認する
    3. 過去の浸水履歴を調べる
  5. 大雨の前に行う浸水対策
    1. 玄関や窓の前に止水板を設置する
    2. 水のうを準備する
    3. 排水口と側溝を清掃する
    4. 雨どいを点検する
    5. 下水や排水口からの逆流に備える
    6. 屋外の物を片付ける
  6. 家電と非常用電源を浸水から守る
    1. 床に置いている家電を高い場所へ移す
    2. ポータブル電源は上階または高い棚へ移す
    3. エアコンの室外機を確認する
    4. 分電盤と屋外コンセントの位置を確認する
  7. 重要品は水に強い方法で保管する
  8. 車やバイクの浸水対策
  9. 浸水が始まる前に避難する
    1. 避難時にブレーカーを切る
  10. 浸水後にやってはいけないこと
    1. 濡れた家電の電源を入れない
    2. 濡れたコンセントへ触れない
    3. 停電復旧後に家電を一斉に接続しない
    4. 汚水へ素手で触れない
  11. 浸水対策チェックリスト
  12. まとめ|浸水対策は水が来る前に終わらせる

住宅の浸水には主に2つの原因がある

住宅の浸水を考えるときは、河川の水があふれる「外水氾濫」と、市街地に降った雨を排水しきれなくなる「内水氾濫」を分けて考える必要があります。

河川の氾濫による浸水

大雨によって河川の水位が上昇し、堤防を越えたり、堤防が損傷したりして市街地へ水が流れ込む浸水です。

河川の近くでは浸水が深くなる可能性があるほか、流れのある水によって住宅、車、塀、屋外設備などが被害を受けることがあります。

排水が追いつかない内水氾濫

短時間に大量の雨が降ると、側溝、下水道、雨水ます、排水ポンプなどの処理能力を超え、道路や住宅地に水がたまることがあります。

近くに大きな河川がなくても発生する可能性があり、都市部の低地、道路のくぼみ、地下空間のある建物などでは特に注意が必要です。

ポイント:洪水ハザードマップで色が付いていない場所でも、内水氾濫、道路冠水、側溝からの逆流が起こらないとは限りません。自治体が内水ハザードマップを公開している場合は、あわせて確認しましょう。

浸水しやすい土地の特徴

周囲より標高が低い土地

周辺より土地が低い場所には、雨水が流れ込みやすくなります。

一見すると平らな住宅地でも、数十センチ程度の高低差によって水の集まり方が変わる場合があります。大雨の日に道路の一部だけ水がたまりやすい場所は、周囲より低くなっている可能性があります。

川、用水路、調整池の近く

河川や用水路の近くでは、水位上昇、越水、排水口からの逆流などに注意が必要です。

小さな水路でも、上流側で大量の雨が降ると急激に水位が上がる場合があります。普段の水量だけで安全性を判断しないようにしましょう。

かつて水田、沼、湿地だった土地

昔は水田、沼、湿地だった土地や、河川が流れていた跡地は、周囲より低かったり、水が集まりやすかったりする場合があります。

現在は住宅地として整備され、見た目では分からないこともあります。古い地図、地形分類図、土地の名称なども、過去の土地の状態を知る手掛かりになります。

谷底低地やくぼ地

台地と台地の間にある低い土地や、坂道の下にある住宅地には、周辺から雨水が集中することがあります。

道路が坂になっている場合は、水がどちらへ流れるかを普段から確認しておきましょう。

アンダーパスや地下道の近く

鉄道や道路の下を通るアンダーパスは、短時間の大雨で水がたまりやすい場所です。

住宅が直接浸水しなくても、周辺道路が冠水すると、避難、帰宅、救援、車両移動が難しくなる可能性があります。

海岸や河口に近い低地

海岸や河口付近では、豪雨だけでなく、台風による高潮が重なることがあります。

満潮、大雨、強風が重なると河川の水が海へ流れにくくなり、河口周辺や低地で浸水リスクが高まる場合があります。

浸水しやすい家の特徴

道路と玄関の高さがほとんど同じ

道路面と玄関の高さに差が少ない家は、道路にたまった水が敷地や玄関へ入りやすくなります。

玄関前に階段や十分な立ち上がりがなく、道路から室内までほぼ平らになっている住宅は注意が必要です。

玄関や掃き出し窓が低い位置にある

玄関、勝手口、庭に面した掃き出し窓は、水が室内へ入りやすい開口部です。

サッシには一定の水密性がありますが、強い水圧がかかったり、レール部分を超える高さまで水がたまったりすると、室内へ水が入る可能性があります。

半地下や地下室がある

半地下の部屋、地下室、地下駐車場、地下収納は、地上より低い位置にあるため水が流れ込みやすく、排水も難しくなります。

一度大量の水が入り始めると、外開きの扉が水圧で開かなくなることもあります。地下空間にとどまったまま様子を見るのは危険です。

駐車場から住宅へ向かって下り傾斜になっている

道路や駐車場から玄関、勝手口、地下車庫へ向かって下り坂になっている住宅では、雨水が建物側へ集中します。

敷地内の排水溝が落ち葉や泥で詰まると、短時間で水位が上昇する可能性があります。

排水口や側溝が少ない

敷地内に降った雨を排出する経路が少ない家では、庭、駐車場、玄関前に水がたまりやすくなります。

排水口があっても、落ち葉、土、砂、ゴミなどで詰まっていると十分に機能しません。

雨どいの水が敷地内へ集中している

雨どいから流れた水が住宅の基礎周辺や玄関付近へ集中すると、敷地内の水位が上がりやすくなります。

縦どいの外れ、破損、詰まり、排水先の不良がないかを確認しましょう。

電気設備や給湯設備が低い位置にある

屋外コンセント、エアコンの室外機、給湯器、蓄電池、ポータブル電源、延長コードなどが低い位置にあると、浅い浸水でも故障や漏電につながる可能性があります。

マンションでは、受変電設備、非常用発電設備、給水ポンプなどが地下に設置されていると、住戸が浸水していなくても長時間の停電や断水が発生することがあります。

自宅の浸水リスクを調べる方法

ハザードマップを確認する

国土交通省のハザードマップポータルサイトや自治体のハザードマップを使い、自宅周辺の浸水リスクを確認します。

少なくとも次の項目を確認しましょう。

  • 洪水浸水想定区域に入っているか
  • 想定される浸水深
  • 浸水が続くと予想される時間
  • 内水氾濫の想定区域
  • 高潮や津波の浸水想定
  • 土砂災害警戒区域
  • 指定緊急避難場所
  • 避難場所までの経路

ハザードマップの想定は、あらゆる降雨や局地的な浸水を完全に予測するものではありません。色が付いていないことだけを理由に、安全だと決めつけないことが大切です。

自宅周辺を実際に歩いて確認する

地図だけでなく、普段から自宅周辺を確認しておきます。

  • 道路のどこに水がたまりやすいか
  • 坂道の水がどちらへ流れるか
  • 側溝や雨水ますの位置
  • 近くの川や水路までの距離
  • 冠水しやすい地下道やアンダーパス
  • 夜間でも使える避難経路
  • 徒歩で移動できる高い場所

大雨の最中に確認しに行くのは危険です。天候が安定している日に調べてください。

過去の浸水履歴を調べる

自治体の防災資料、地域の記録、近隣住民の話などから、過去に道路冠水や床下浸水が起きていないかを確認します。

同じ場所で繰り返し冠水している場合は、ハザードマップに色が付いていなくても対策を強めた方が安心です。

大雨の前に行う浸水対策

玄関や窓の前に止水板を設置する

道路から水が入りやすい玄関、勝手口、掃き出し窓には、止水板や防水板を設置する方法があります。

製品を選ぶときは、開口部の幅、高さ、取り付け方法、想定する水位を確認してください。

置くだけの簡易タイプは設置しやすい一方、地面との隙間、壁との密着性、水圧への強さを確認する必要があります。

水のうを準備する

専用の水のう袋があると、玄関、勝手口、排水口などへ素早く設置できます。

ごみ袋を二重にして水を入れ、段ボール箱などに入れて使う方法もありますが、破れやすく、長時間の使用には向きません。可能であれば専用品を準備しておきましょう。

土のうは重く、保管場所も必要です。水を入れて使用するタイプなら、平常時は小さく保管できます。

排水口と側溝を清掃する

庭、駐車場、ベランダ、玄関周辺の排水口から、落ち葉、泥、砂、ゴミを取り除きます。

側溝のふたを外す作業や道路上の清掃は、雨が強くなる前に行ってください。大雨の最中に屋外へ出たり、流れのある水へ手を入れたりするのは危険です。

雨どいを点検する

雨どいが詰まっていると、屋根からの雨水があふれ、外壁、基礎、玄関周辺へ集中します。

落ち葉や泥の詰まり、継ぎ目の外れ、破損、縦どいの排水先を確認しましょう。

高所での作業には転落の危険があります。屋根や高いはしごでの点検が必要な場合は、専門業者へ依頼してください。

下水や排水口からの逆流に備える

豪雨時には、下水道へ大量の雨水が流れ込み、トイレ、浴室、洗濯機の排水口などから水が逆流する場合があります。

排水口の上に水のうを置くと、一時的な逆流対策になります。

  • トイレの便器
  • 浴室の排水口
  • 洗濯機の排水口
  • キッチンや洗面所の排水口

ただし、すでに逆流が始まっている場合や、汚水があふれている場合は、無理に作業せず安全な場所へ移動してください。

屋外の物を片付ける

植木鉢、ゴミ箱、園芸用品、工具などが流されると、排水口をふさいだり、窓や外壁を傷つけたりする可能性があります。

大雨や強風が予想される前に、屋内または水に流されにくい場所へ移動します。

家電と非常用電源を浸水から守る

床に置いている家電を高い場所へ移す

床上浸水が予想される場合は、安全に移動できる範囲で次の物を高い場所へ移します。

  • ポータブル電源
  • モバイルバッテリー
  • 延長コードと電源タップ
  • ノートパソコン
  • Wi-Fiルーター
  • 小型家電
  • 重要書類
  • 薬や衛生用品

棚や机へ載せる場合は、地震や水流で落下しない安定した場所を選んでください。

ポータブル電源は上階または高い棚へ移す

ポータブル電源は水に弱いため、玄関、窓際、低い床、半地下、屋外物置などを避けて保管します。

浸水リスクがある住宅では、平常時から上階や高い位置へ置いておくと、警報が出てから重い本体を移動する負担を減らせます。

ただし、密閉した棚の中や、直射日光が当たる高温の場所は避け、製品の使用温度と保管条件に従ってください。

エアコンの室外機を確認する

室外機が低い位置に設置されている場合は、浅い浸水でも内部へ水や泥が入る可能性があります。

新設や交換の際は、浸水想定を踏まえて架台で高さを確保できるか、施工業者へ相談しましょう。

すでに浸水した室外機は、自分で試運転せず、メーカーや修理業者へ点検を依頼してください。

分電盤と屋外コンセントの位置を確認する

分電盤、屋外コンセント、電源タップが浸水する可能性を確認します。

分電盤が低い位置にある場合は、自分で移設せず、電気工事業者へ相談してください。

分電盤、コンセント、家電が濡れている場合は、素手で触れたり、自分で通電を試したりしないでください。

重要品は水に強い方法で保管する

住宅への浸水が始まると、書類や小物を一つずつ移動する時間がなくなる可能性があります。

あらかじめ防水ケースや密閉袋へまとめておきましょう。

  • 現金
  • 身分証明書の控え
  • 保険証券や契約書類
  • 通帳などの重要書類
  • 常用薬とお薬手帳
  • スマートフォンの充電ケーブル
  • 予備の眼鏡
  • 家や車の予備鍵

原本をすべて持ち出せない場合に備えて、必要な情報をスマートフォンや安全なオンラインストレージへ保存しておく方法もあります。

車やバイクの浸水対策

低い駐車場、地下駐車場、川沿いの駐車場は、短時間で冠水する可能性があります。

大雨が予想される場合は、早い段階で高い場所へ移動することを検討します。ただし、すでに道路が冠水してから車両を移動させるのは危険です。

  • 冠水した道路へ進入しない
  • アンダーパスを通らない
  • 地下駐車場へ様子を見に行かない
  • 流れのある水の中で車両を押さない
  • 電気自動車や電動バイクも浸水後は使用しない

水深は暗い場所や濁った水の中では正確に判断できません。車なら通れると思わず、別の経路または避難方法を選びましょう。

浸水が始まる前に避難する

止水板や水のうは、浸水を遅らせたり、少量の水の侵入を減らしたりするための対策です。大規模な氾濫を完全に防げるものではありません。

次のような場合は、住宅を守る作業を中止し、避難を優先してください。

  • 自治体から避難情報が発令された
  • 近くの川や水路が急激に増水している
  • 道路冠水が始まっている
  • 玄関や排水口から水が入り始めた
  • 地下や半地下に水が流れ込んでいる
  • 夜間になり周囲の状況が見えにくい
  • 高齢者や移動に時間がかかる人がいる

避難先は指定避難所だけとは限りません。安全な親族宅、知人宅、浸水想定区域外の建物、上階なども含め、複数の避難先を考えておきましょう。

避難時にブレーカーを切る

自宅を離れる時間的な余裕があり、分電盤と周辺が濡れておらず、安全に操作できる場合は、主幹ブレーカーを切ります。

停電から復旧した際、浸水した家電や電熱器具へ自動的に通電する事故を防ぐためです。

すでに床が浸水している、分電盤が濡れている、火花、異音、焦げ臭さがある場合は、ブレーカーへ触れず避難してください。

浸水後にやってはいけないこと

濡れた家電の電源を入れない

水に浸かった家電は、表面が乾いていても内部に水分、泥、塩分、異物が残っている可能性があります。

コンセントへ差したり、試運転したりせず、メーカー、販売店、電気工事業者へ相談してください。

濡れたコンセントへ触れない

壁のコンセント、電源タップ、延長コードが濡れている場合は触れないでください。

水が引いた後も、壁の内部や床下に水分が残っている可能性があります。安全確認が終わるまで通電を再開しないことが重要です。

停電復旧後に家電を一斉に接続しない

電気設備の安全が確認できた場合も、家電は一台ずつ接続します。

電源コードの損傷、焦げた跡、変形、異臭、異音、異常な発熱がないかを確認し、異常がある製品は使用を中止してください。

汚水へ素手で触れない

浸水した水には、下水、泥、油、ガラス片、くぎなどが混ざっている可能性があります。

清掃するときは、厚手の手袋、長靴、マスク、長袖の衣類を着用し、傷口から汚水が入らないように注意しましょう。

浸水対策チェックリスト

確認項目 事前対策
ハザードマップ 洪水・内水・高潮・浸水深・避難場所を確認する
玄関・勝手口 止水板、水のう、設置手順を準備する
排水設備 側溝、雨水ます、ベランダ排水口を清掃する
雨どい 詰まり、破損、排水先を点検する
排水口の逆流 トイレ、浴室、洗濯機用の水のうを準備する
家電 床置きを避け、安全な高い場所へ移動する
非常用電源 ポータブル電源や電池を上階で保管する
重要書類 防水ケースへまとめ、データも保存する
車・バイク 早めに高い駐車場所へ移動する
避難 避難先、経路、移動開始の条件を決める
電気設備 分電盤の位置と安全な操作方法を確認する

まとめ|浸水対策は水が来る前に終わらせる

浸水しやすい家は、川の近くにある住宅だけではありません。

周囲より低い土地、道路と玄関の高低差が少ない家、半地下や地下室がある家、敷地内の排水能力が不足している家では、短時間の豪雨でも浸水する可能性があります。

まずはハザードマップで洪水、内水氾濫、高潮、想定浸水深を確認し、自宅周辺の高低差や過去の冠水履歴も調べておきましょう。

玄関の止水板、水のう、排水口の清掃、家電や重要品の移動は、雨が強くなる前に行うことが重要です。

すでに浸水が始まった場合は、住宅や車を守る作業を続けず、身の安全を優先してください。浸水した家電やコンセントは自分で通電せず、専門業者による安全確認を受けましょう。

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