大雨が続き、地域に洪水警報が発表されると、「すぐ避難するべきなのか」「家で何を準備すればよいのか」と迷うことがあります。
洪水警報は、河川の増水や氾濫によって重大な災害が発生するおそれがあることを知らせる情報です。ただし、洪水警報が発表された時点で、すべての地域や世帯が一律に同じ行動を取るわけではありません。
自宅が浸水想定区域にあるか、想定浸水深はどの程度か、川の近くか、避難に時間がかかる人がいるかなどによって、必要な行動は変わります。
この記事では、洪水警報が出たときに確認する情報、避難の判断、家の中で準備する物、浸水対策、停電・断水への備えを順番に解説します。
この記事でわかること
- 洪水警報が出たときに最初に確認する情報
- 避難を開始するタイミング
- 持ち出し品と自宅内での準備
- 玄関や排水口の浸水対策
- 停電・断水・通電火災への備え
- 避難が難しくなった場合の安全確保
洪水警報が出たら、まず確認すること
洪水警報が発表されたら、すぐに屋外へ様子を見に行くのではなく、スマートフォン、テレビ、ラジオなどで次の情報を確認します。
- 自治体から避難情報が発令されているか
- 自宅周辺の洪水キキクル
- 近くの河川の水位と氾濫情報
- 雨雲の動きと今後の降雨予測
- 洪水ハザードマップの浸水想定
- 避難所の開設状況
- 避難経路の道路冠水や通行止め
洪水警報だけで避難の要否を判断するのではなく、自治体の避難情報、河川の水位、ハザードマップ、自宅周辺の状況を組み合わせることが重要です。
自治体の避難情報を確認する
自治体から発令される避難情報には、主に次の段階があります。
| 警戒レベル | 主な情報 | 取るべき行動 |
|---|---|---|
| レベル1 | 早期注意情報など | 災害への心構えを高める |
| レベル2 | 注意報など | 避難先と経路を確認する |
| レベル3 | 高齢者等避難 | 避難に時間がかかる人は危険な場所から避難する |
| レベル4 | 避難指示 | 危険な場所にいる人は避難を完了する |
| レベル5 | 緊急安全確保 | 命の危険が迫っているため、その場で可能な安全確保を行う |
警戒レベル5を待ってから避難してはいけません。危険な場所にいる場合は、警戒レベル4までに避難を完了することが基本です。
洪水キキクルと河川水位を確認する
気象庁の洪水キキクルでは、河川の増水や氾濫による危険度を地図上で確認できます。
近くの河川に水位観測所がある場合は、現在の水位、上昇傾向、氾濫に関する情報も確認しましょう。
自宅付近で雨が弱くなっていても、上流で大量の雨が降っていると、時間差で川の水位が上昇する場合があります。
自宅が避難の必要な場所か確認する
洪水警報が出たら、洪水ハザードマップで自宅の位置を確認します。
少なくとも次の項目を確認してください。
- 自宅が洪水浸水想定区域に入っているか
- 想定される浸水深
- 浸水が継続する時間
- 家屋倒壊等氾濫想定区域に入っているか
- 避難所までの経路
- 途中に川、用水路、地下道、アンダーパスがないか
立退き避難が必要になりやすい家
次のような住宅では、建物内にとどまるよりも、早い段階で安全な場所へ移動する必要があります。
- 川や堤防の近くにある
- 家屋倒壊等氾濫想定区域に入っている
- 想定浸水深が住宅の最上階を超える
- 平屋や半地下の住宅である
- 地下室や地下駐車場がある
- 長期間の浸水が想定されている
- 土砂災害の危険も重なっている
屋内安全確保が可能な場合
浸水想定区域内でも、建物が十分に頑丈で、浸水しない高さの階へ移動でき、家屋流失の危険が低い場合は、上階にとどまる屋内安全確保が選択肢になることがあります。
ただし、水、食料、トイレ、医薬品、停電への備えが必要です。また、長期間孤立する可能性がある地域では、雨が強くなる前の立退き避難を検討してください。
関連記事:浸水しやすい家の特徴と事前対策
避難する場合に準備する物
避難が必要になる可能性がある場合は、すぐに持ち出せる状態へ荷物をまとめます。
非常用持ち出し袋
- 飲料水
- すぐに食べられる食品
- 常用薬とお薬手帳
- スマートフォン
- モバイルバッテリー
- 充電ケーブル
- 懐中電灯またはヘッドライト
- 携帯ラジオ
- 現金
- 身分証明書の控え
- 保険証券などの重要情報
- マスクと衛生用品
- 携帯トイレ
- タオルと着替え
- 雨具
荷物は両手を使えるリュックへ入れ、防水袋やビニール袋で中身を保護します。
長靴は水が入ると重くなり、歩きにくくなる場合があります。避難時は脱げにくい運動靴を履き、底が滑りにくいものを選びましょう。
乳幼児や高齢者がいる場合
家族構成に応じて、次の物も準備します。
- 紙おむつ
- ミルクと哺乳瓶
- 離乳食
- 介護用品
- 予備の眼鏡
- 補聴器用の電池
- 杖や歩行補助具
- 医療機器用の予備電源
避難に時間がかかる人がいる家庭では、避難指示を待たず、高齢者等避難や地域の危険度上昇を目安に早めに移動します。
避難先と避難経路を決める
避難先は、自治体の指定避難所だけではありません。
- 浸水想定区域外の指定緊急避難場所
- 安全な場所にある親族や知人の家
- 安全なホテルや宿泊施設
- 近隣の頑丈な建物の上階
- 自宅の浸水しない上階
自宅から避難所までの最短距離だけでなく、安全に通れる経路を確認してください。
川沿い、用水路沿い、地下道、アンダーパス、低い道路、崖の近くを通る経路は避けます。
家族との連絡方法を決める
家族が別々の場所にいる場合は、次の内容を共有します。
- それぞれが避難する場所
- 連絡が取れない場合の集合場所
- 安否確認に使う連絡手段
- 遠方の親族などの中継連絡先
- ペットを連れて行ける避難先
携帯電話回線が混雑すると通話しにくくなるため、メッセージアプリ、メール、災害用伝言サービスなど複数の方法を用意します。
自宅で行う浸水対策
避難までに時間の余裕があり、まだ雨風が強くない場合に限り、自宅への浸水を減らす準備を行います。
止水板や水のうを設置する
道路から水が入りやすい玄関、勝手口、掃き出し窓には、止水板や水のうを設置します。
水のうは、トイレ、浴室、洗濯機などの排水口からの逆流を抑える用途にも使えます。
- 玄関
- 勝手口
- 低い掃き出し窓
- トイレの便器
- 浴室の排水口
- 洗濯機の排水口
止水板や水のうは、浸水を完全に防ぐものではありません。河川氾濫の危険が高まった場合は、設置作業を中止して避難してください。
排水口や側溝を確認する
雨が強くなる前で、安全に作業できる場合は、庭、ベランダ、駐車場の排水口から落ち葉やゴミを取り除きます。
すでに道路冠水が始まっている場合や、雷雨・強風の最中は、屋外へ出て清掃しないでください。
屋外の物を片付ける
植木鉢、ゴミ箱、園芸用品、自転車などは、流されたり排水口をふさいだりしないように固定または移動します。
ただし、雨や風が強くなってから屋外作業を始めるのは危険です。
家電と重要品を高い場所へ移す
床上浸水の可能性がある場合は、安全に移動できる物を上階や高い棚へ移します。
- ポータブル電源
- モバイルバッテリー
- 電源タップと延長コード
- Wi-Fiルーター
- ノートパソコン
- 小型家電
- 重要書類
- 薬や衛生用品
- 思い出の品
重い家電を一人で無理に持ち上げたり、すでに水が入っている場所で移動作業をしたりしないでください。
重要書類を防水する
通帳、保険証券、契約書、身分証明書の控え、お薬手帳などは、防水ケースや密閉袋へまとめます。
必要な情報をスマートフォンや安全なオンラインストレージへ保存しておくと、原本を持ち出せない場合にも役立ちます。
停電と断水に備える
洪水警報が出るような大雨では、落雷、倒木、設備の浸水などによって停電が発生する可能性があります。
また、マンションでは受変電設備や給水ポンプが停止し、住戸が浸水していなくても停電や断水が起こる場合があります。
充電できる物を充電する
- スマートフォン
- モバイルバッテリー
- ポータブル電源
- 充電式ランタン
- 携帯ラジオ
- 医療機器用バッテリー
充電は浸水や落雷の危険が高まる前に行い、窓際や低い床に機器を置かないでください。
飲料水と生活用水を確保する
飲料水のほか、手洗い、簡単な清掃、トイレなどに使う生活用水も確保します。
ただし、自治体から避難情報が出ている場合は、水をためる作業より避難を優先してください。
冷蔵庫と冷凍庫を開けない
停電が発生したら、冷蔵庫と冷凍庫の扉をできるだけ開けず、冷気を逃がさないようにします。
保冷剤や凍らせたペットボトル、クーラーボックスを準備しておくと、停電が長引いた場合に食品を移せます。
関連記事:台風による長期停電に備える方法まとめ
車やバイクを移動させる場合
低い駐車場、地下駐車場、川沿いの駐車場に車やバイクを置いている場合は、道路冠水が始まる前に高い場所へ移動することを検討します。
ただし、すでに大雨が降っている、道路に水がたまっている、避難情報が出ている場合は、車両を守るための移動を優先してはいけません。
- 冠水した道路へ入らない
- アンダーパスを通らない
- 地下駐車場へ様子を見に行かない
- 川沿いの道路を通らない
- 車内で待機し続けない
濁った水の中では、道路の段差、側溝、マンホールの位置が分かりません。見た目より浅いと判断せず、冠水場所には進入しないでください。
避難するときに自宅で行うこと
時間に余裕があり、安全に操作できる場合は、避難前に次の確認をします。
- 火気を消す
- 発熱する家電の電源を切る
- 戸締まりをする
- 非常用持ち出し袋を持つ
- 家族へ避難先を知らせる
- 安全に操作できる場合は主幹ブレーカーを切る
停電中に避難し、その後電気が復旧すると、倒れた電熱器具や浸水した家電へ通電して火災が発生する可能性があります。
ただし、分電盤や床が濡れている、火花が出ている、焦げ臭い、すでに浸水している場合は、ブレーカーへ触れず避難してください。
分電盤、コンセント、電源コードが濡れている場合は、素手で触れたり、自分で通電を試したりしないでください。
避難が遅れた場合の安全確保
すでに道路が冠水している、夜間で周囲が見えない、水の流れが強いなど、屋外への避難がかえって危険な場合があります。
その場合は、無理に避難所へ向かわず、次のような行動を取ります。
- 自宅の浸水しない上階へ移動する
- 川から離れた部屋へ移動する
- 近くの頑丈な建物の上階へ移動する
- 地下室や半地下から直ちに出る
- 崖や斜面から離れた場所へ移動する
屋内安全確保が適さない地域や建物もあります。堤防付近、家屋流失の危険がある区域、最上階まで浸水する想定の場所では、危険が高まる前の立退き避難が必要です。
洪水警報が出たときの準備チェックリスト
| 確認項目 | 行うこと |
|---|---|
| 避難情報 | 自治体の警戒レベルと避難所の開設状況を確認する |
| 危険度 | 洪水キキクルと河川水位を確認する |
| ハザードマップ | 浸水深、家屋流失、避難経路を確認する |
| 持ち出し品 | 水、食品、薬、ライト、充電器をリュックへ入れる |
| 連絡 | 家族へ避難先と連絡方法を知らせる |
| 玄関・排水口 | 安全な段階で止水板や水のうを設置する |
| 家電・電源 | ポータブル電源や電源タップを高い場所へ移す |
| 重要品 | 重要書類、薬、貴重品を防水する |
| 停電・断水 | 機器を充電し、飲料水とライトを準備する |
| 避難開始 | 危険が高まる前、明るいうちに移動する |
まとめ|洪水警報は避難準備を始める重要な合図
洪水警報が発表されたら、まず自治体の避難情報、洪水キキクル、河川水位、ハザードマップを確認します。
浸水想定区域、川や堤防の近く、平屋や半地下の住宅などでは、避難情報が発令される前でも、危険度の上昇に応じて早めに移動を検討してください。
避難まで時間に余裕がある場合は、非常用持ち出し袋を準備し、家電やポータブル電源、重要書類を高い場所へ移します。止水板や水のうの設置は、雨風が強くなる前に限って行います。
道路冠水や浸水が始まってからの移動は危険です。警戒レベル5を待たず、警戒レベル4までに危険な場所から避難を完了することを基本に行動しましょう。




コメント