台風が接近すると、強風で飛ばされた看板や倒木が電線を傷つけ、広い範囲で停電が発生することがあります。
設備の被害が大きい場合や、道路の冠水・倒木によって復旧作業が進められない場合には、停電が数日以上続く可能性もあります。
長期停電では、照明が使えないだけでなく、冷蔵庫、エアコン、給湯器、スマートフォンの充電、集合住宅の給水設備など、生活を支える多くの機能が停止します。
この記事では、台風による長期停電に備えて、事前に準備しておきたい物、停電発生後の電力の使い方、冷蔵庫や暑さへの対策、復旧時の注意点をまとめます。
この記事でわかること
- 台風による長期停電に必要な備蓄
- ポータブル電源で優先して動かす家電
- 冷蔵庫の食品を長持ちさせる方法
- 夏の停電での熱中症対策
- 停電復旧時の通電火災を防ぐ方法
台風による停電が長期化する理由
台風では、強風による倒木、飛来物、電柱の損傷、電線の断線などが停電の原因になります。
さらに、道路の冠水や土砂崩れが発生すると、電力会社の作業員や復旧車両が被災場所へ入れず、停電の復旧に時間がかかる場合があります。
自宅周辺に大きな被害が見られなくても、離れた場所にある変電設備や送電線が損傷している可能性があります。
そのため、台風が接近するときは、短時間の停電だけでなく、少なくとも数日間は電気を使えない状況を想定して準備しておくことが大切です。
長期停電に備えて準備したい物
長期停電では、照明、通信、飲料水、食料、暑さ対策の5つを優先して準備します。
LEDランタンと懐中電灯
夜間の停電に備え、部屋全体を照らすLEDランタンと、移動時に使う懐中電灯をそれぞれ用意します。
スマートフォンのライトは便利ですが、長時間使用するとバッテリーを消耗します。連絡や情報収集のための電力を残すためにも、照明は専用器具を使いましょう。
- LEDランタン
- 懐中電灯
- ヘッドライト
- 乾電池
- 充電式電池と充電器
暗い室内で両手を使って作業する場合は、ヘッドライトが役立ちます。
モバイルバッテリー
停電時には、スマートフォンが災害情報、避難情報、家族との連絡、停電情報の確認手段になります。
容量の異なるモバイルバッテリーを複数用意し、台風接近前にすべて満充電にしておきましょう。
モバイルバッテリーは、高温になる車内や直射日光の当たる場所を避け、膨張、変形、異臭、異常な発熱があるものは使用しないでください。
ポータブル電源
ポータブル電源があると、スマートフォン、LED照明、扇風機、冷蔵庫、情報機器などへ電力を供給できます。
ただし、容量には限りがあります。停電中も普段どおりに家電を使うのではなく、生命と情報の維持に必要な機器へ電力を集中させます。
購入時には、次の項目を確認しましょう。
- バッテリー容量(Wh)
- AC出力の定格電力(W)
- 瞬間最大出力
- 充電にかかる時間
- ソーラーパネル入力の対応電圧
- UPSまたはパススルー機能の有無
- 使用温度と保管温度
冷蔵庫やポンプなど、起動時に大きな電力を必要とする機器を使用する場合は、通常の消費電力だけでなく、起動時の電力にも余裕が必要です。
ポータブル電源は水に濡らさず、直射日光や高温多湿を避け、周囲に物を密着させない状態で使用してください。
関連記事:停電時にポータブル電源で使える家電一覧【消費電力別】
飲料水と生活用水
停電だけでなく、断水も同時に起こる可能性があります。
特にマンションや集合住宅では、水道本管が正常でも、受水槽から各部屋へ水を送るポンプが停止して断水する場合があります。
飲料水は最低限の備蓄だけでなく、調理、服薬、歯磨きなどに使う分も考えて準備します。
- 飲料水
- 給水袋
- 折りたたみ式ウォータータンク
- 浴槽の残り湯などの生活用水
- 携帯トイレ
浴槽に水をためる場合は、乳幼児やペットの転落事故を防ぐため、浴室の扉を閉めるなどの対策も必要です。
関連記事:水の備蓄は何日分必要?家族人数別の目安
加熱せずに食べられる食品
停電時は電子レンジ、IH調理器、電気ケトルが使えなくなります。
カセットこんろがあっても、台風の最中や換気が難しい状況では、安全に使用できない場合があります。加熱しなくても食べられる食品を用意しておきましょう。
- 缶詰
- レトルト食品
- 栄養補助食品
- クラッカーや乾パン
- 常温保存できるパン
- ゼリー飲料
- 使い捨ての食器
普段から食べている食品を少し多めに購入し、古いものから使って補充するローリングストックなら、無理なく備蓄を続けられます。
台風が接近する前に行う準備
停電対策は、風雨が強くなってからでは間に合いません。台風の進路に入る可能性がある段階で準備を始めます。
充電できる物をすべて充電する
- スマートフォン
- モバイルバッテリー
- ポータブル電源
- 充電式ランタン
- 充電式扇風機
- ノートパソコン
- 電動工具用バッテリー
ポータブル電源は、停電してから充電することが難しいため、台風接近前に十分な残量を確保します。
冷蔵庫と冷凍庫を整理する
傷みやすい食品は台風が来る前に消費し、冷凍庫には保冷剤や凍らせたペットボトルを入れておきます。
冷凍庫は、ある程度中身が詰まっている方が庫内温度を保ちやすくなります。隙間が多い場合は、凍らせた水を追加すると保冷力の向上が期待できます。
ただし、水は凍ると膨張するため、ペットボトルへ満杯に入れず、少し空間を残してください。
生活用水を確保する
停電や断水が予想される場合は、飲料水とは別に、トイレ、手洗い、簡単な清掃に使う生活用水を確保します。
台風が近づいてから屋外へ水を取りに行くのは危険です。風が弱いうちに準備を完了させましょう。
停電情報を確認できるようにする
契約している電力会社や地域の送配電事業者の停電情報ページを、スマートフォンのブックマークへ登録しておきます。
自治体の防災アプリ、メール配信、防災行政無線、ラジオなど、複数の情報収集手段を準備してください。
停電が発生した直後に行うこと
自宅だけの停電か周辺一帯の停電か確認する
窓から周辺の街灯や住宅を確認し、近隣も停電しているかを確かめます。
自宅だけが停電している場合は、ブレーカーや漏電が原因の可能性があります。ただし、分電盤の周辺が濡れている、焦げ臭い、異音がする場合は操作せず、電力会社や電気工事事業者へ相談してください。
不要な家電のプラグを抜く
電気ストーブ、アイロン、ドライヤー、IH調理器など、発熱する家電は電源を切り、可能であればプラグを抜きます。
停電復旧時に家電が突然動き出すことや、損傷した機器へ通電して発火することを防ぐためです。
冷蔵庫を開けない
停電直後は冷蔵庫や冷凍庫の扉をできるだけ開けないでください。
中身を確認するために何度も開閉すると、冷気が逃げて庫内温度が上昇します。食べる物を決めてから、必要な物だけを短時間で取り出しましょう。
切れた電線には近づかない
台風によって電線が切れたり、低い位置へ垂れ下がったりすることがあります。
切れた電線や、電線に接触している樹木、看板、フェンスには絶対に近づかないでください。周囲の濡れた地面にも電気が流れている可能性があります。
ポータブル電源は何に優先して使うべきか
長期停電では、ポータブル電源の残量を計画的に使う必要があります。
優先順位の目安は次のとおりです。
- 医療機器や健康維持に必要な機器
- スマートフォンなどの通信機器
- LED照明
- 扇風機などの暑さ対策機器
- 冷蔵庫
- ラジオやノートパソコン
テレビ、電気ケトル、電子レンジ、ドライヤーなど、消費電力の大きい家電を頻繁に使用すると、ポータブル電源の残量が急速に減ります。
使用可能時間の計算方法
家電を使える時間は、おおよそ次の考え方で計算できます。
使用可能時間の目安=容量(Wh)×変換効率÷消費電力(W)
例えば、容量1,000Whのポータブル電源で消費電力50Wの機器を使用する場合、理論上は20時間ですが、実際にはインバーターの変換損失や待機電力があります。
計算どおりの時間を使えるとは限らないため、余裕を持った運用が必要です。
冷蔵庫の食品を守る方法
長期停電では、冷蔵庫内の食品をすべて保存し続けることは難しくなります。
冷蔵庫の扉を閉めたままにし、停電初期の冷気をできるだけ逃がさないことが基本です。
傷みやすい食品から消費する
停電後は、次の順番を目安に食品を消費します。
- 冷蔵室の生ものや調理済み食品
- 解凍が始まった冷凍食品
- 野菜、果物、飲料
- 缶詰や常温保存食品
肉、魚、乳製品、作り置き料理などは、見た目や臭いだけでは安全性を判断できないことがあります。
長時間ぬるい状態になった食品や、保存状態が分からない食品は、無理に食べないでください。
ポータブル電源で冷蔵庫を動かす場合
冷蔵庫は常に一定の電力を消費するのではなく、庫内温度が上がるとコンプレッサーが動作します。
ポータブル電源へ接続する場合は、冷蔵庫の定格消費電力だけでなく、起動時の電力に対応できるか確認してください。
停電が長引く場合は、冷蔵庫を連続運転する方法だけでなく、一定時間運転して庫内を冷やし、その後停止する間欠運転も選択肢になります。
ただし、食品の状態、室温、冷蔵庫の性能によって適切な運転時間は変わります。庫内温度計を使って確認するのが安全です。
関連記事:停電時に冷蔵庫の中身は何時間もつ?食品を守る方法
夏の長期停電では熱中症に注意する
台風は高温多湿の時期に接近することが多く、停電でエアコンが止まると室温が急上昇することがあります。
高齢者、乳幼児、持病のある人、暑さを感じにくい人は特に注意が必要です。
扇風機だけに頼らない
扇風機は消費電力が比較的小さく、ポータブル電源で使いやすい家電です。
ただし、室温が非常に高い環境では、扇風機の風だけでは体温を十分に下げられない場合があります。
- 首、脇の下、脚の付け根を冷やす
- 濡らしたタオルを使う
- 水分と塩分を補給する
- 日差しが入る窓のカーテンを閉める
- 比較的涼しい部屋へ移動する
体調に異変がある場合は、自宅で我慢せず、電気が復旧している親族宅、避難所、商業施設、自治体が開設する涼しい場所などへの移動を検討してください。
夜間も室温を確認する
夜になっても建物に蓄積した熱が残り、室温が下がらないことがあります。
温湿度計を設置し、感覚だけでなく数値で室内環境を確認しましょう。
頭痛、吐き気、強いだるさ、めまい、意識がぼんやりするなどの症状がある場合は、熱中症の可能性があります。涼しい場所へ移動し、必要に応じて救急要請を行ってください。
関連記事:夏の停電に備える持ち物リスト
携帯発電機は屋内で絶対に使用しない
携帯発電機を住宅内、車内、物置、ガレージ、テント内で使用してはいけません。
ガソリン、軽油、ガスなどを燃料とする携帯発電機の排気には、一酸化炭素が含まれています。
一酸化炭素は無色・無臭で、発生していても気づきにくく、短時間で重大な中毒事故につながる危険があります。
屋外で使用する場合も、窓、玄関、換気口から十分に離し、排気が建物内へ入らない風通しのよい場所で使用してください。
雨を避けるために発電機全体をシートで覆うと、排熱や排気が妨げられる危険があります。必ず製品の取扱説明書に従って使用します。
ソーラーパネルを使う場合の注意点
ポータブル電源へ対応するソーラーパネルがあれば、停電中でも日中に充電できる可能性があります。
ただし、台風通過中に屋外へソーラーパネルを設置するのは危険です。強風で飛ばされると、人や建物へ被害を与えるおそれがあります。
風雨が収まり、安全を確認してから設置してください。
- ポータブル電源の入力電圧範囲を確認する
- ソーラーパネルの開放電圧を確認する
- 端子と変換ケーブルの適合を確認する
- 濡れた端子を接続しない
- パネルを確実に固定する
- ポータブル電源本体は濡らさない
晴天時でも、パネルの角度、日陰、雲、気温によって発電量は変化します。表示されている最大出力が常に得られるわけではありません。
関連記事:ポータブル電源を充電するソーラーパネルの選び方
自宅を離れて避難するときの注意点
台風による浸水、土砂災害、建物の損傷などで自宅を離れる場合は、身の安全を最優先にしてください。
時間と周囲の状況に余裕があり、安全に操作できる場合は、分電盤の主幹ブレーカーを切ってから避難します。
停電中に避難した後、無人の住宅で電気が復旧すると、倒れた電熱器具や損傷した配線へ通電し、火災が発生する可能性があるためです。
ただし、分電盤が水に濡れている、浸水している、火花や焦げ臭さがある場合は触れないでください。
停電が復旧したときに確認すること
電気が復旧しても、すぐにすべての家電を使用するのは避けましょう。
家電やコンセントが濡れていないか確認する
浸水した家電、雨水がかかったコンセント、破損した延長コードには通電しないでください。
見た目が乾いていても内部に水分や泥が残っている場合があります。水に浸かった家電は自分で通電せず、メーカー、販売店、電気工事事業者へ相談します。
焦げ臭さや異音がないか確認する
ブレーカーを戻した後は、焦げ臭い、煙が出る、異音がする、コンセントが熱くなるといった異常がないか確認します。
異常を感じた場合は、すぐにブレーカーを切り、安全な場所から消防や電気工事事業者へ連絡してください。
家電を一台ずつ接続する
停電中にプラグを抜いていた家電は、復旧後に状態を確認しながら一台ずつ接続します。
冷蔵庫、給湯器、エアコン、炊飯器、時計、録画機器などは、時刻や設定が初期化されている場合があります。
長期停電への備えチェックリスト
| 項目 | 準備内容 |
|---|---|
| 照明 | LEDランタン、懐中電灯、ヘッドライト、乾電池 |
| 通信 | モバイルバッテリー、充電ケーブル、ラジオ |
| 非常用電源 | ポータブル電源、対応ソーラーパネル |
| 水 | 飲料水、生活用水、給水袋 |
| 食料 | 加熱せずに食べられる食品、缶詰、レトルト食品 |
| 暑さ対策 | 充電式扇風機、保冷剤、冷却タオル、温湿度計 |
| 衛生 | 携帯トイレ、ウェットティッシュ、ゴミ袋 |
| 冷蔵庫 | 保冷剤、凍らせた水、庫内温度計、クーラーボックス |
| 情報 | 電力会社、自治体、防災アプリの登録 |
| 安全確認 | 分電盤の位置、避難経路、ハザードマップの確認 |
まとめ|電気を作る準備と使わない準備の両方が重要
台風による長期停電では、電気を確保することだけでなく、限られた電力を何に使うかを事前に決めておくことが重要です。
スマートフォン、照明、暑さ対策、冷蔵庫など、家庭ごとに優先する機器を整理し、ポータブル電源の容量と家電の消費電力を確認しておきましょう。
また、停電中は携帯発電機による一酸化炭素中毒、復旧時には浸水した家電や電熱器具による通電火災に注意が必要です。
台風が接近してから慌てることがないように、平常時に充電、備蓄、機器の動作確認を行い、数日間の停電を想定した準備を進めておきましょう。




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